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日本のメディアの構造問題とジャーナリズム

キーノートスピーカー
神保哲生(ジャーナリスト)
ディスカッション
波頭亮、島田雅彦、神保哲生、西川伸一、茂木健一郎、山崎元

日本のメディアが持つ3大利権

はじめにメディアの3大利権について説明します。

この3つが日本のメディア問題の根っこにあります。日本のメディアの後進性を際立たせている原因として、この3つの問題があり、この3つはお互いが補完しあいながら、相互にインタラクトしている点も非常に大事な視点となります。

この3つの仕組みは非常に特殊で、他のどの業界を見ても、また世界をのどこの国を見渡してみても、このような事例は存在しません。これは絶大なメディア利権なわけですが、日本では、その利権がいずれも政府によって保証されているものであることを理解しておく必要があります。この「政府が保証している」という点が重要なポイントです。すなわち、日本のメディアが現在享受している特権や権限は、国民が戦いの末権力からもぎ取った権限ではなく、また経済原理上成り立っているものでもなく、政府とメディア企業間の談合によって成り立っているということです。

たとえば、再販制度は新聞を独占禁止法の対象から除外する規定ですが、新聞をその対象にすることは閣議決定によって決まっています。また、記者クラブの場合は、大蔵省(当時)の通達によって記者が役所の部屋を無料で使用できることになっているほか、そもそも政府が記者クラブだけを対象に記者会見をやったり、情報を公開したりするからこそ、記者クラブが情報利権となっています。記者クラブなんていうものを勝手に作っても、政府がそれを優遇さえしなければ、ただの親睦団体(記者クラブは法人格のない任意団体)が一つできただけで、それ自体は何の意味も持たないわけです。

記者クラブの問題は記者クラブを作っていることではなく、まずはここに日本新聞協会加盟社しか入れないという排他的な加盟資格ルールを設けることで、新聞社とテレビ局しか入れなくしていることですが、同時に政府がこれと一心同体になっていることによって、ほんの一握りのメディア企業だけが行政情報を独占するようになり、記者クラブに加盟しない記者は記者会見にさえ出られないという状況が長らく続いたのです。これも政府がそれを認めているからこそ起こり得ることで、その証拠に民主党政権ができ、記者会見のオープン化を宣言した瞬間に、少なくとも大臣会見だけは記者クラブの独占が崩れています。