櫻井氏が「変革時代の法律論」と題するキーノートスピーチを行った。
はじめに、日本の法制度の来歴について財政制度と比較しながらの解説がなされ、日本の法制度はアメリカの影響を受けている部分も見受けられるが、基本的にはフランスやドイツに代表される大陸法の伝統を引き継いでいることが指摘された。
日本の行政法においては、中心テーマであるべき公益=公共の福祉について正面切って論じられることが少ない現状が示され、その背景として戦時中に人権が制限された国家体制への反省があるとする解説がなされた。
直近の法律論としては、主な法律論の担い手たる裁判所/学者/行政の三者のうち、特に東京地裁を中心とする裁判所において平成13年頃から、新たな感覚の法律論が出てきていると述べ、その具体的事例として、小田急の高架訴訟、圏央道訴訟、国立マンション訴訟等の事例が解説された。
最後に、立法過程の変化として、霞が関のルールメイキングの在り方の変化や、官民の力関係の逆転の事例等が紹介された。
ディスカッションにおいては、日本における法制度や直近の判例を踏まえた上で、公益という観点から望ましい日本の法律の在り方についての議論が交わされた。