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日本の問題と課題

キーノートスピーカー
波頭亮(経済評論家)
ディスカッション
波頭亮、齋藤宏軌

キーノートスピーチ:概要

1.日本の成熟
・90年代以降、日本経済は成長が鈍化。95年以降はほとんどゼロ成長

・この間世界経済は順調に発展し、日本経済のウェイトは下降の一途

・その結果、GDP成長率でも一人当たりGDPでも日本のポジションは低迷

・経済の成長は、人口と技術係数で決定されるが、人口は既に下降トレンドに入っており、高齢化率は世界最高

・その結果、総合的な国力ランキングでも日本は大きく凋落している

・日本は典型的成熟国家の様相。これからの人口減少、新興国の伸長を考えると日本は下降トレンドに

2.日本のしくみ

・こうした状況下で日本はどのような政策と社会経済体制をとっているのか…大きな政府/小さな政府という観点では比較的小さな政府で、国民負担率は低いが…。

・政府の財政支出は、産業部門に対して厚く、国民への社会保障は薄い

・産業間の生産性格差は大きい(製造業は生産性が高く、サービス業は低く、しかも改善の度合いも小さい)

・その結果、国全体としての生産性の改善が進まず、グローバリゼーションの時代にあって、大競争に取り残された格好

3.取るべき方針

・これからの日本が対応していかなければならない2つのイシュー:1つは21世紀型高付加価値産業構造へのシフト、もう1つは、高齢化人口減少社会への対応。…これら2つのイシューは、成長論と分配論の両方で根本的な転換を要請する

・高齢化人口減少社会に進んでいく中で、国民生活の豊かさを維持するためには、福祉の拡充と産業の生産性向上が不可欠

ディスカッション

質問者 21世紀文明構想フォーラムを立ち上げた理由は?

波頭 「〇〇総研」と名前がつくような大手のシンクタンクはバックにつく大手企業や銀行にとって不利なことを発言することが難しい。また文化人による問題提起は的を射たメッセージも少なくなかったが、解決のための提言が現実的に有効な施策に収斂しなかった。それらの体質的問題を解決し、ニュートラルかつ理性的な検討と提言を目指して立ち上げた。